まずは何といっても第一印象。「賢くマンションを売る方法」、「高く売れるマンション」。オトノ様が図書館で借りてきた本たちは異口同音に唱える。クンダリ邸の情報は既にネットに流れた。週末にはチラシも配布された。次のステップは内見だ。買い手候補が家を見に来たとき、その第一印象で成否が決まるという。
そうなるとクンダリ邸には大きなネックがある。フローリングだ。どういうわけか我家のフローリングは、かさかさしていてツヤがない。いつからこうなったのかわからない。汚れがついているのか、何かがはがれているのか、ところどころ黒ずんでムラになっている。玄関から見ると、ベランダからの日差しでムラが光って浮き上がっている。うーん、第一印象、最悪。なにか対策を打たねばなるまい。
こんなとき・・・と素人が思いつくのは、ダスキンくらいしかない。早速近くの営業所に連絡して見積もりに来てもらった。とはいえ、ホームページでは1帖あたり1,470円〜などと書かれてあり、フローリング面積が広いクンダリ邸ならナンボかかるんやとドキドキしていた。妙に腰の低いダスキンスタッフの2人組は、フローリングのあまりの汚さにまず絶句。「・・・あの〜、普段は裸足で過ごしていらっしゃいますか?」。はい、そのとおり。控えめながら提案される。「今後はスリッパを履かれた方が良いかと」。彼ら曰く、裸足で歩いたり水をこぼしたりするうちに、もともとのフローリングに塗られていたワックスがところどころ剥げてしまったことが原因らしい。フローリングでの基本的な生活方法も知らないまま過ごしてきたのかと赤面。
「いったん、元のワックスを全部剥離して、そのあと、ワックスを2回かけさせていただきます」。ホームページに書いていた作業工程より複雑そう。しかも全部手作業だなんて。ホンマになんぼかかるんや? と思いながら、やはり控えめに出された見積書の金額を見ると、こちらの予想をはるかに下回る5万円(うちらの見積計算がいい加減なだけか)。反射的に「お願いします!」と言っていた。
作業当日はオシメ様を実家に預けた。朝9時にやってきたダスキンスタッフは3名。前出の2名とまだ新人らしき子が1名。早速作業にかかる彼らとは別に、オトノ様と私は寝室をひっくり返して大掃除。お昼も取らずに黙々と5時間、作業は午後2時に終了した。出来上がりに目を見張る。あんなにカサカサだった床はピカピカのつやつや(オシメ様を送り届けに来てくれた両親もびっくり)。大感謝で3人にめちゃくちゃお礼を言ってしまう私たち。大の大人が3人が5時間がかりで5万円。いやー、ダスキン、こんなんで採算取れてんの?
やはり控えめにスタッフが言う。「今後はスリッパを履かれるようにお願いします」。はいはい、見積の直後、すぐ買いに行きましたよ。「それで」と彼は控えめに差し出す。「今後のお手入れにどうぞ」と、モップ。やはりか、ダスキン。採算はここで取るようにできてんのか。 軽く今後に不安を覚えながらも、ちょっと興味もあって受け取ってしまった。さて、どうなりますことやら。とりあえず第一印象のネックが排除できたことを喜ぼう。