毅然のなりどころ

昨年末に「来年からノー残業デーをやるぞ」と通知を出して、始業すぐの水曜日が第一回目。前日全管理職へ「明日だからね!」とメールを出し、朝礼でも話してもらい、夕方にも「定時はもうすぐだよ」と一斉メール。ワンフロアでのコミュニケーションを旨とする本社では、朝となく昼となく「今日はノー残業なんで、早めにお願いしますよ」などと電話口で語るピンポン部長の大きな声が響き渡り、いやでも意識してしまう。
ここまで「ノー残業デーだ!」と全社にうるさく言っている人事部こそ、率先してノー残業デーを実行するべきである、という思い。一方で社長からの要望として、ノー残業デーの退社刻限である18時半時点で残っている人がいないかリアルタイムでチェックし、警告メールを出すという仕事がある。・・・必然的に残業することになり、示しがつかないのじゃないだろうか。人事だけ治外法権かよ、と反発を招いてしまわないだろうか。変な板ばさみで事実悶々と悩んでいた。もちろん、クレームなどの緊急事態で残業をせざるをえないこともあるから、理由報告をすれば残業してもOKという制度にはしている。だから人事は毎回これを適用することになるのかなぁ。
「あほか」。部長の一喝が飛ぶ。「『全社的なノー残業デーの運用を管理するため、人事部のノー残業デーは木曜日にずらしています』と毅然と言えばいいだけやろうが!」。おお!その手があったか! マジで蒙を啓かれた感じ(大げさ)。「頭固いなぁ。毅然とセェ、毅然とぉ!」。ああ、今年初喝は3日目か・・・。
毅然。毅然とした態度を取るべきタイミングというのか、ポイントがわからない。今回のこれだって、臨機応変な対応と言えばそうだけど。毅然としたところで、ただ強引に我田引水しているだけとも思えなくもない。そう思うと、ちょっと照れくさくて「人事は木曜日なんでー」とヘラヘラしてしまう。と、またすぐ「ヘラヘラすんな!」と喝が入る。自分で作った理屈を自分が信用して、実行すればそれでいいんだ。だから自分はこうあることに決めたんだと毅然としていろということか。
ノー残業デー初回は、全社で83%という高い実行率だった。部長が言う。「明日はちゃんと定時で帰れよ」。毅然と決めて毅然と実行。了解しました。