個人PCを貸与されている社員については、給与明細をWeb配信するシステムが始まった。まずは10月給与明細をテストとして配信してみる。
ログインできないだの、明細画面のポップアップが出てこないだの、自分で設定したPWを忘れてロックされてしまっただの、ひととおりの大騒ぎが済んでほっと一息、なんとか11月給与明細配信の本番に間に合ったと思っているところに、Mr.リジーとS夫人の会話が飛び込んでくる。
「(Web配信される)明細に振込口座が表示されているのはイヤ。なんでこんなのが表示されるのかわからない」とS夫人。「そやなー、おかしいよなぁ。まぁ、ふつーそんなもの表示する会社なんてないわなー」と受けるMr.リジー。2人の視線がこっちにきたので「他社事例なんか知りません」とそっけなく返す。・・・が、頭の中は「お前ら、どこの部署の者だ?!」という思いでいっぱいだ。
確かに、直接このシステム導入を担当したのは私だ。Web明細書式はシステム標準仕様のまま使用している。とはいえ振込口座が表示されるというのは、百歩譲って当社的に「不備」なのかもしれない。もし、Mr.リジーやS夫人が担当者であれば、そこに何か物申していたのかもしれない。しかし、2人ともこのシステムを推進する人事部に所属しているではないか。ましてMr.リジーは私の上司ではないか。人事課のすることに対して責任を持つ立場ではないか。そんな立場の者が、オープンフロアな部署の机で(他部署の者に聞かれる環境で)、導入したてのシステムの不備を声高に語るとはどういうことだ? 客の前で自らの製品の不具合を言い立てているのと同義ではないのか? 営業なら許されないことだろう。せめてそれは今後の改善点として部内会議などで進言するにとどめていただきたい。なぜ、そんな他人事のように批判(文句)を言う「だけ」なんだろう。社内に対しては、人事部としての面子を守りたい。メンバー一丸となってこれが良いことであると信じて推進しているという見栄を張りたいと思うのは間違いなんだろうか。
「私たちは、責任部署です。その責任部署が、このような場所でそんなことを言うのは許されることなのでしょうか」。なんとかひねり出した批判の言葉はあまりに婉曲で弱弱しい。思いは彼らに伝わったのだろうか。こういうとき、部長の一喝をとてつもなく欲してしまう。