しゅうとめ気質

「コロナ感染防止対策」として昨年春の緊急事態宣言の頃からテレワークや時差出勤が始まり、今やすっかり定着した。個人情報保護の定めのため、資料の持ち帰りや人事データベースへの社内ネットワーク外からの アクセスが制限されている人事部は、 テレワークでの業務対応は限定的。 感染対策としては時差出勤のみを行っている。

半数は9時~18時まで、半数は10時~19時まで勤務。メンバー同士の接触を減らすというよりは、ラッシュを避け通勤途上での感染リスクを減らすという方に軸足が ある。

この運用が宣言解除のあと、6月ごろに始まり現在に至るのだが、隣で見ていてじれったくてしょうがない。9時~10時の間に、 10時出社へのメンバーへ問い合わせの電話がかかることが多いのだ。始業からしばらくの間、9時出社のメンバーがその電話対応に追われてしまっている

9時出社と10時出社、メンバーは固定されている。ならば「 現在人事部はこういう体制を敷いているので、〇〇 さんへの連絡は10時以降にしてください」と通知すればいい。 全社に向けてとは言わない。人事に頻繁に電話をかけるのは、各支社・工場の事務担当者だ。せめてその人たちだけにでも通知してはいけないのか。これをするだけでも、少しは朝イチの電話の数を減らすことができるではないか。 電話を取るたびに「〇〇さんは10時出社なんです」「 私はちょっとそのへんのことわからなくて」。毎日同じセリフを繰り返していることを、なんとかしようとは思わないのか。

また、〇〇さんの電話は固定電話ではない。携帯だ。 彼女の机の上に置いてある。電話が鳴るたび、9時出社の▲▲ さんが(ほかの9時出社メンバーは役職者で、 朝いちばんはミーティング等で席にいないことが多い。 電話を取るのは▲▲さんとたいてい決まっている)、ぱたぱたと〇 〇さんの机まで駆け寄って取っている。たまに間に合わないこともある。

なぜ、▲▲さんは朝出社したら〇〇 さんの携帯を自分の手元に置かないんだろう。〇〇 さんが出社したら返せばいいだけじゃん。 なぜ毎日ぱたぱたと机の島を回って、電話を取りに行くんだろう( 人事の机の島は大きくて、〇〇 さんの机に行くには回り込まないといけない)。

この時差出勤運用が始まってもう半年だ。日々繰り返される始業直後の妙なバタつきについて 誰も疑問に思わないのだろうか。こうしたらもっと楽だからこんなふうに対策しようと、なぜ考えないんだろうか。

自分にこんなしゅうとめ気質があるとは思わなかった。…今日も、 横の島で繰り返される「ぱたぱた」 をじれじれしながら見ないふりをしている。